世界視点で見るFC業界

フランチャイズ専門の米ポータルサイトが作成した、世界フランチャイズ企業ランキングTOP100では首位がマクドナルドです。9位までは全てアメリカに本部がある企業です。日本からは20位に児童学習塾のKumon(公文/くもん)がランクインしています。

「フランチャイズ」と呼ばれるビジネス手法は、アメリカ発祥なことが起因するのか、100位以内ではランクインしているのはアメリカ企業ばかりです。

これらの企業は、フランチャイズのビジネス手法を利用しながら企業のグローバル化、収益の拡大を進めています。

アメリカにおいて、FC(フランチャイズ)というビジネス手法が収益の拡大を図る上での重要なシステムとして、広く認知・確立されているといえます。

 

 

 

「食」に関するフランチャイズ

世界フランチャイズトップ100にランクインしている業種はファストフードを始めとした「飲食業」が最も多く、次いで「コンビニ」「ホテル」「ジム」などがランクインしています。

 

このように、「食」に関連した事業が多いのには理由があります。

「食」は、グローバルなフランチャイズ展開を行う際に必要とされる進出国の「風土・文化」との融和性の高さや、均一なオペレーションの展開が容易であるという理由からだと考えられます。

 

ですが、日本でフランチャイズといえば、最も多いのはコンビニエンスストアが思い浮かぶのではないでしょうか。

なんと、フランチャイズ全体の約4割をコンビニエンスストアが占めています。

コンビニ経営はロイヤルティ比率が高いものの、非常に高度に完成されたビジネスモデルであり、一定以上の収入を得られる可能性が高いシステムです。

初期投資資金が潤沢ではないが、立地選定やフランチャイズ店舗運営にも積極的に取り組む意思があるという方にはお勧めできるフランチャイズパッケージです。

また、チェーンごとに店舗所有の有無、費用負担とロイヤルティの比率などで様々な契約タイプが用意されています。

 

 

 

日本のフランチャイズが世界に出ていかない理由

世界と日本を比較してみると、韓国やシンガポールは国をあげて、フランチャイズの海外進出を支援していますが、日本はそうとは言えません。

日本のフランチャイズが世界に出ていかない理由は何でしょうか?

言語が通じない、日本だけで十分にマーケットがある、海外に知見がないなど…

ものづくりが基本であった日本は、“ノウハウを売る”ということをしてきませんでした。

アメリカもその昔は、ものつくり生産大国でしたが、今アメリカが強い業界は、IT・金融・フランチャイズと言えると思います。

これら全てに共通するのは、知識産業であるということ。アメリカは知識をパッケージ化してお金に変えています。

 

和食はユネスコの無形文化遺産に登録されており、日本も食ビジネスの知識産業化を意識する必要があります。

イギリスでの例になってしまいますが、イギリスでカツカレーがブームになっているのをご存じでしょうか?

カツカレーを国民食という人もいるくらいです。ですが、その火付け役となったのは日本企業ではありません。

カツカレーがブームになったのは、90年代後半と今からそう古くはありません。

日本は、ITや金融ではアメリカに太刀打ちできないですが、食・サービスを武器としたフランチャイズであれば戦えるのではないでしょうか。

 

また、日本式ノウハウを取り入れたフランチャイズビジネスが世界で展開していることもご存じでしょうか?

吉野家は2021年時点で全米で103店舗を展開しています。

画一的な米国式フランチャイズとは異なり、現地の風習、風土や相手に合わせた店舗運営マニュアルや商品管理マニュアルの存在もあるようです。

特に日本人特有のきめ細やかいホスピタリティが反映した接客マニュアルと出店後のアフターケアは世界から高い注目を集めています。

海外で8,000店舗以上を展開する日本型コンビニのファミリーマートもその“相手”に合わせた地域に貢献するビジネスといった考え方が成功の要因となりました。

海外でフランチャイズを展開する時、すべてを日本色にするのではなく、日本のエッセンスにローカルの文化を合わせることが日本発信のフランチャイズビジネスも大切なカギといえるのかもしれません。

 

 

 

公文式の成功の理由

食だけでなく、教育事業もご紹介したいと思います。

世界フランチャイズ企業ランキングTOP100の20位にランクインしている公文式。

北米での成功理由は指導方法や教材を標準化したこと、特定のグループ(アジア系移民または移民の子ども)を照準に合わせていること、顧客を知り尽くすことの徹底、顧客ニーズに基づいた事業設計だそうです。

また、公文の初期投資は破格です。公文と同じく、算数と読み書きを中心とした個別指導を提供しているフランチャイズと比べると、なんと10分の1の投資で起業できるそうです。

また、公文では「資格」と「適性」に重きをおいた厳格な選抜システムを設けて、やる気のある質の良いフランチャイジーの獲得に注力しています。

さらに、営業開始前のトレーニング・プログラム、そして継続的なスキルアップのためのトレーニング・プログラムを設けて、フランチャイジーのサポートにも努めています。

公文のフランチャイジー候補は、厳重な身元調査をクリアした後に面接試験、筆記試験を受け、トレーニング・センターで7日間のトレーニング、実技試験をパスしなくてはならないです。

公文のフランチャイジーになるためには、学士号をもっていることが条件です。

公文のフランチャイジーの多くが、教員免許の保持者や、エンジニア出身であることも、この選抜システムによるところかもしれません。

北米における公文の市場潜在性は現在の10倍ほど拡張可能なのでは、とも言われているとのことです。

北米市場への進出というと、どうしても「米国全般」を対象として考えがちですが、公文の事例は「日本人」や「アジア系」といった限られた層に照準を合わせたビジネスでも充分事業として成立する可能性があり、そこを出発点として、もっと大きな市場へと変化していくチャンスがあるのだ、ということを示しているといえます。

 

 

 

まとめ

日本でのフランチャイズ業界は、9年で26%拡大しています。コロナ禍においても、問合せが多い企業に、お持ち帰り弁当や配食弁当が入るなど、飲食業が元気なようです。

ぜひ、事業を拡大し、世界と戦っていけるフランチャイズが育つといいですね。

 

 

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